太陽光発電を検討し始めると、ほぼ必ず蓄電池をセットで勧められます。しかし本当に全員に必要なのか、価格に見合うのか、という疑問を抱えたまま契約に進んでしまう人も少なくありません。
戸建て向けの太陽光発電と蓄電池を専門に扱う株式会社ECODA(エコダ)の代表取締役・平間 一也氏に、この問いをそのままぶつけると、明確な線引きが返ってきました。誰にでも必要だとは言わない。その前提から話は始まります。
勧める理由と、勧めない場合
平間 一也氏が基本的には蓄電池があったほうがよいと考える理由は、環境への配慮でも災害への備えでもなく、単純な計算にあります。現在は売電の単価が安く、余った電気を電力会社に売ってもプラスが小さい。それならば貯めて自宅で使ったほうが合理的だという判断です。
ただし、そこに例外を設けています。もともと電気の使用量が極端に少ない単身世帯であれば、まずは太陽光だけという選択もありうる、というものです。貯める電気も、貯めた電気を使う場面も限られている家庭に、高額な設備を重ねる意味は薄い。この線引きを最初に示すかどうかが、事業者の姿勢を測るひとつの目安になります。
固定価格買取制度の期間を終えた、いわゆる卒FITの家庭についても、同氏の見方は一貫しています。安くなった単価で売り続けるより、蓄電池や電気自動車を組み合わせて自家消費の割合をさらに高めるほうが理にかなっている、と。売る電気の価値が下がり、買う電気の価格が上がるという構図が続く以上、電気を家の中で循環させる方向に答えが寄っていくことになります。
国産と海外製、どちらを選ぶべきか
製品選びで多くの人が迷うのが、国産と海外製の違いです。ここでも平間 一也氏の回答は、必要以上に不安を煽らないものでした。基本的に大きく変わることはない、というのが結論です。
海外メーカーであっても日本国内に拠点を持っている場合が多く、保証の面でも問題のないケースがほとんどだといいます。一方で、国内メーカーの製品に安心感を覚える人が多いのも事実であり、その感覚自体を否定する必要はないとも述べています。
より重視すべきなのは、産地よりも中身です。安いパネルと良いパネルの違いは、発電量、劣化率、そして保証の三点に集約されるというのが同氏の整理です。二十年単位で屋根に置き続ける設備である以上、初期費用の差だけを見て決めることの危うさは、この三点を並べれば自ずと見えてきます。
寿命と劣化率をめぐる、根強い誤解
導入をためらう理由として、いまだに聞かれるのがパネルの寿命です。十年から二十年で交換が必要になる、十年ほどで発電量が半減する。こうした話を信じている人が今も少なくないと平間 一也氏は指摘します。
しかし実際の発電量は、カタログに記載された数値とほとんど変わらないというのが現場の実感だといいます。太陽光は裕福な家庭のための設備だという思い込みも含め、十数年前の情報がそのまま残り続けていることが、検討の入口を狭くしている面があります。
維持費は、思われているほどかからない
メンテナンス費用がかさんで結局意味がなくなるのではないか、という不安も根強いものです。これについて同氏は、項目ごとに実態を分けて説明します。
パネルの洗浄は、戸建てであれば基本的に必要ありません。定期点検についても、専用のアプリで発電状況を確認できるようになったことで、必要性は薄れつつあります。一方で、電気を変換するパワーコンディショナーについては二十年前後で交換が発生するため、これは長期の費用として見込んでおくべきものです。
加えて、あまり語られないのが将来の解体費用です。住宅を取り壊す際、太陽光が設置されていると撤去分として十数万円ほどが上乗せされます。導入時には意識されにくい負担ですが、事実として存在しています。都合の悪い数字も含めて先に示すかどうかが、信頼できる事業者かどうかの分かれ目だといえます。
住宅用と産業用では、考え方がまるで違う
情報を集めるうえで注意したいのが、住宅用と産業用の混同です。平間 一也氏によれば、この二つは経済メリットの考え方そのものが異なります。
野立ての設備は、売電による収入を目的とするものが大半です。対して戸建ての屋根に載せる場合の目的は、電気代の削減にあります。目的が違えば、判断の基準も、良し悪しの尺度も変わる。インターネット上で見かける情報がどちらを前提にしたものなのかを見分けないまま参考にすると、判断を誤りかねません。
太陽光の普及にともなって語られる出力制御の問題についても、同氏は戸建ての現場で大きな支障になっている実感はないと述べています。産業用で問題になっている事象が、そのまま住宅に当てはまるわけではないということです。
判断を任せきりにしないために
株式会社ECODAは、経済効果が見込めないと判断した家庭には提案自体を行わないという方針を掲げています。導入するかしないかという地点から一緒に考えるため、条件の合わない設置が起こりにくいという考え方です。同社が目安として挙げるのは、四人以上の家族で月に1万円以上の電気料金を支払っている家庭であれば、メリットを実感しやすいという線です。
同社の施工実績は累計3,000件を超え、2024年には年間1,800件に達しました。ニチコン株式会社からは、家庭用蓄電システムの販売実績第一位として感謝状を受けています(2023年12月時点、ニチコン調べ)。
平間 一也氏が社員に伝えている行動基準は、顧客に適正な価格と適正な商品を届けること、そして目先の利益だけで動かないことだといいます。蓄電池が必要かどうかという問いに、必要ですと即答しない事業者を選ぶ。それが、後悔しないための最初の一歩なのかもしれません。
