エネルギーをめぐる話題には、景気のいい未来予測がつきものです。次世代の太陽電池が街を覆い、あらゆる家庭が電力会社から独立する。そうした絵が語られる一方で、実際に毎日屋根に上がっている事業者の見立ては、もっと地に足がついています。戸建て向けの太陽光発電と蓄電池を専門に扱う株式会社ECODA(エコダ)の代表取締役・平間 一也氏に、この先の十年をどう見ているのかを尋ねると、返ってきたのは劇的な変化を否定する言葉でした。

三年から五年で、業界は劇的には変わらない

今後三年から五年で太陽光業界はどう変わるかという問いに対し、平間 一也氏はそこまで大きくは変わらないと答えます。ただしひとつだけ、確実に進むこととして挙げたのが、新築戸建てにおける標準設備化です。

同氏は、判断のあり方そのものが入れ替わりつつあると指摘します。十年前は、売電で儲かるからとりあえず屋根に載せておこうという発想でした。これからは、新築であれば最初から備わっている設備になり、載せるか載せないかという判断を消費者が下す機会すら減っていく。選ぶものから、当たり前に付いてくるものへ。地味ですが、市場としては最も大きな変化です。

補助金は、設置への支援から使い方への支援へ

制度の側でも、静かな転換が起きています。従来の補助金は設備を設置することそのものに対して交付されるものが主流でしたが、近年注目されているのがデマンドレスポンス、すなわち電力の需給が逼迫した際に蓄電池を活用して使用量を調整する仕組みに対する支援です。蓄電池を持っているかどうかではなく、それを効率よく動かせるかどうかが評価される。制度の重心が、所有から運用へと移りつつあるということです。

こうした支援制度は人気が高く、想定を上回る申請によって受付期間の途中で予算上限に達することも珍しくありません。平間 一也氏は、補助金の予算は年々縮小する傾向にあるため、太陽光が必要だと感じた時点で、そのときに使える制度を最大限活用して導入することを勧めています。次の制度を待つという判断が、必ずしも得にならない領域だという見方です。

なお株式会社ECODA(エコダ)は、これまでに2,000件を超える補助金申請を手がけており、国の制度と各自治体が実施する制度の併用についても提案を行っています。

電気自動車が、家庭の電源になっていく

車との関係も変わります。電気自動車が減少に転じる兆しは見えないため、自宅で充電と放電を行う需要は今後さらに増えるだろう、というのが平間 一也氏の見立てです。売電価格が下がり購入電力の単価が上がるという構図が続く以上、発電した電気を家庭内で循環させる方向に流れが向かうのは自然な帰結だといえます。

一方で、太陽光の普及にともなって語られる出力制御や系統連系の問題については、戸建ての現場で大きな支障になっている実感はないと述べています。産業用と住宅用では、直面している課題が異なるということです。

次世代技術への期待と、実務家としての距離

薄くて曲げられる次世代の太陽電池についても尋ねました。平間 一也氏は、今より普及していくだろうと前置きしたうえで、戸建てに関しては現行のパネルのほうが耐久性で圧倒的に優れているため、住宅への本格的な普及はもう少し先だという見方を示します。二十年単位で屋根に置き続ける設備である以上、新しさよりも耐久性が優先されるという、実務からの判断です。

同時に、業界が正面から語りたがらない論点にも触れています。2030年代に見込まれるパネルの大量廃棄です。住宅を解体する際、太陽光が設置されていると撤去費用として十数万円ほどが上乗せされる。導入を検討する段階では意識されにくい費用ですが、長期の負担として存在していることは事実です。

目指すのは、全家庭が電気を自給する社会

こうした現実的な見通しの先に、平間 一也氏が描く到達点は明確です。電力需要が今後さらに膨らんでいくことと、災害への備えという二つの理由から、すべての家庭が電気を自給自足できる状態を目指したいと語ります。

その必要性は、生活者の意識にも表れています。同社が戸建ての持ち家に住む1,010人を対象に行った調査では、現状のままでは災害時の電気利用に不安があると答えた人が八割を超えました。停電時に使えなくなって困るものとして最も多く挙がったのは冷暖房で、およそ六割にのぼります。それにもかかわらず、モバイルバッテリー以外の電源供給手段を用意している家庭は三割ほどにとどまりました。備えの必要性は認識されているのに、設備としては手当てされていない。その隙間が、そのまま市場の余地でもあります。

株式会社ECODAが掲げる目標は、太陽光と蓄電池で全国的なシェアを確保し、行政からも依頼が届く水準まで事業を引き上げること。さらに五年後、十年後には、製品を販売するだけでなく製造までを一貫して手がける体制を築きたいと平間 一也氏は語ります。ガスも水も自宅で自給することはできないが、電気だけはそれができる。同氏が売っているのは設備ではなく、その選択肢だという言い方が、この会社の向かう先を端的に表しています。

投稿者 admin

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